2025年、大阪府が就労継続支援B型事業所を対象に大規模な実態調査を行いました。
調査のきっかけとなったのは、「在宅支援を行う一部の事業所で、実際には訓練と呼べない活動しか行われていない」という報告です。
大阪府によると、府内約2,050の事業所を対象としたこの調査では、「訓練」として給付費を請求していながら、実際には職業訓練とは言えない軽微な活動に留まっていたケースが確認されました。
中には「自宅で1日数回、植物に水をやる」といった内容が職業訓練として扱われていた事例もあり、制度の信頼性を揺るがす問題として社会的な注目を集めています。
出典:大阪府 障害者支援「就労継続支援B型事業所」約2050施設対象に …(関西テレビニュース, 2025年11月4日)
https://www.ktv.jp/news/articles/?id=23060
在宅支援という制度自体は、本来とても意義のある仕組みです。
通所が難しい方でも自宅で安心して作業を続けられるようにするための大切な選択肢だからこそ、事業所の取り組み方や支援の質が問われています。
私たち「わっはっは」では、在宅支援を行ううえで“見える支援”と“つながりのある支援”を徹底しています。
以下では、その取り組みを具体的にご紹介します。
Discordで実現する「見える支援」
在宅支援の一番の課題は、スタッフが利用者さんの様子を直接見られないことです。
その課題を解消するため、わっはっはではDiscord(ディスコード)というオンラインツールを導入しています。

discordの画面
利用者さんには作業中、Discordの画面共有機能を常にオンにしてもらっています。
スタッフはリアルタイムで作業の進行状況を確認できるため、困っていそうなタイミングを見てすぐに声をかけたり、作業の進め方を一緒に考えたりできます。
また、質問があった場合には通話をつなぎ、スタッフが画面を一緒に見ながらサポートします。
操作方法や作業上の迷いを、同じ画面を見ながら解決できるのはオンライン支援ならではの強みです。
「分からないけど聞きづらい」という不安を減らし、安心して学べる環境を作ることを大切にしています。

画面共有をしながら作業している様子
毎日の日報とスクリーンショット提出で「記録に残る支援」を
わっはっはでは、在宅で作業するすべての利用者さんに毎日の日報提出をお願いしています。
日報には、その日の作業内容・学んだこと・難しかったことなどを記入してもらい、スタッフがコメントを返します。
これは単なる報告ではなく、
「今日の作業の状況を正確に把握するため」
そして「しっかりと作業が行われている証拠を残すため」でもあります。
スタッフは日報に目を通しながら、その日の進捗や理解度を確認し、次の日の支援方針に反映します。
利用者さんにとっても、自分の頑張りを振り返る大切な時間になります。
さらに、作業中のスクリーンショットも合わせて提出してもらっています。
これにより、支援の内容を客観的に記録し、行政の監査などにも対応できる透明な支援体制を維持しています。
利用者さんとスタッフの両方が安心できる、信頼性の高い仕組みです。
通話での見守りと、心の支えとなるコミュニケーション

在宅で作業するうえで大切なのは、「人とのつながり」です。
画面越しの支援でも、孤立を感じさせないようにすることを意識しています。
スタッフは毎日、通話を通じて利用者さんの様子を確認しています。
「今日はどんなことをしていた?」「少し疲れていない?」といった声かけを行い、作業の内容だけでなく、心の状態にも気を配ります。
体調や集中力が落ちている様子があれば、無理に作業を進めず休憩を提案することもあります。
逆に調子が良い日は、少し難しい作業にも挑戦してもらうなど、柔軟に対応しています。
こうした日々の小さなやりとりが、「信頼」と「安心感」につながっています。
在宅でも、通所と変わらない“寄り添う支援”を目指しています。
透明性のある支援を目指して
不正請求や形だけの訓練が問題になる中で、わっはっはでは透明性を最優先に考えています。
- Discordで作業をリアルタイム共有
- 日報・通話内容・成果物の提出をすべて記録
- Googleドライブで訓練記録を時系列で保存
- 行政監査にも対応可能な証跡管理を徹底
こうした仕組みにより、いつ・誰が・どんな作業を行ったのかが明確になります。
記録の積み重ねは、利用者さん一人ひとりの努力の証でもあり、スタッフの誠実な支援の証拠でもあります。
「在宅支援=見えにくい」というイメージを覆し、
“見える福祉”としての信頼を築いていきたいと考えています。
わっはっはが大切にしている想い
わっはっはは、就労継続支援B型事業所として、障がいのある方が自分のペースで学び、働く喜びを感じられる場を目指しています。
在宅という環境でも、スキルを身につけ、成長を実感できるよう、AIやデザインなどの実践的な訓練を行っています。
私たちは、在宅支援を「通えないから仕方なくする支援」ではなく、新しい働き方の選択肢だと考えています。
ITを活用し、オンラインでもしっかりと繋がりながら学ぶことができる。
それが、これからの福祉の形だと思っています。
日々の小さな成長を一緒に喜び合いながら、利用者さんとスタッフがチームとして進んでいく。
そんな温かい関係を、これからも大切にしていきます。
最後に:信頼される在宅支援を目指して
今回の大阪府の調査をきっかけに、全国でも在宅支援のあり方が見直されつつあります。
私たち「わっはっは」は、こうした変化を前向きに捉え、より良い支援体制を整える努力を続けています。
支援の透明性を高めることは、利用者さんの安心にもつながります。
そして、誠実な取り組みの積み重ねが、地域から信頼される福祉の未来をつくると信じています。
これからも「わっはっは」は、
在宅でも通所でも、一人ひとりが“自分らしく働ける”環境を守り続けていきます。
参考・引用文献
大阪府 障害者支援「就労継続支援B型事業所」約2050施設対象に …, 2025年11月4日アクセス
https://www.ktv.jp/news/articles/?id=23060
就労人数調査(令和5年度実績)調査結果等 – 大阪府, 2025年11月4日アクセス
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/91764/06_shuroninzu.pdf
大阪府四條畷市 障害者就労支援施設 不正請求疑い 給付金約150万円 寝屋川市議会議員 一般社団法人 – 介護データベース, 2025年11月4日アクセス
https://www.personalassist.co.jp/kaigodatabase/fraudulent-charges/1877/
障害者の地域生活を支援する重度訪問介護、関西2府4県の利用格差が最大4.8倍。- PR TIMES, 2025年11月4日アクセス
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000084582.html
令和4年度指定障がい福祉サービス事業者等集団指導の開催について – 大阪府, 2025年11月4日アクセス
https://www.pref.osaka.lg.jp/o090080/jigyoshido/jiritu_top/r4syuudannshidousya.html





